【三角関数の合成】わかりやすく 解説

数学II

こんにちは。数学者の妻たーこです。
わかりやすい高校数学」。

今日は三角関数の合成をわかりやすく解説しようと思います。

この記事を読むと分かること
1. 三角関数の合成は覚えなくていい!
2. 三角関数の合成は sin じゃなく cos でもできる
たーこ
たーこ

1つ1つゆっくりやっていこう!

まず,

たーこ
たーこ

三角関数の合成は絶対に覚えてはいけません!

もう一度言います。

たーこ
たーこ

三角関数の合成は絶対に覚えてはいけません!

ぶーたさん
ぶーたさん

えっ!?
覚えなきゃダメでしょ!

たーこ
たーこ

数学ができるようになる1番の近道は
「覚える」のではなく
「理解する」ことだよ!

たーこ
たーこ

そして,三角関数は
一番覚えなくて済む分野なんだ!

たーこ
たーこ

具体的に見ていこう!

三角関数で覚えるのはただ1つ! それは【加法定理】

たーこ
たーこ

覚えればいいのは加法定理だけなんだ!
あとは全部これから導けばいいんだよ!

【三角関数の加法定理】
$$\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$$
$$\sin(\alpha-\beta)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta$$
$$\cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta$$
$$\cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta$$

覚え方は例えば1つ目なら

さいた(sin)コスモス(cos)コスモス(cos)さいた(sin)

3つ目なら

コスモス(cos)コスモス(cos)さいた(sin)さいた(sin)

ですよね。

さて,では三角関数の合成に入りたいと思います。

三角関数の合成を簡単に導く

三角関数の合成は

$${\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta$$

のように1つの式の中に

$\sin\theta$ と $\cos\theta$

の2つがあり,ちょっと扱いにくいなあ

と思った時に

これを sin だけで書いてやりたい

時に使います。

では,式を見ていきましょう。

私たちの目標は sin と cos の2つの式sin だけ で書きたいので

加法定理を思い出します。

加法定理は

$$\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$$

1つの sinsin と cos で書いてあります

そこで,式を変形してこの加法定理の右辺のようにしてやります。

まず,${\color{red}a},~{\color{blue}b}$ が邪魔なので,

$$\sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}$$

を作り,前に出します。

そして,それを

$$\frac{1}{\sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}}$$

で相殺します。

\begin{align*}
{\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta
=&~ \sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}
\Big(
\sin\theta\frac{{\color{red}a}}{\sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}}+\cos\theta\frac{{\color{blue}b}}{\sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}}\Big)
\end{align*}

この式を加法定理の右辺の( )の中身と見比べます。
($\alpha$ を $\theta$ に $\beta$ を $\alpha$ に変更してあります。)

つまり,

$$\sin(\theta+\alpha)=\underbrace{\sin\theta\,\color{red}{\cos\alpha}+\cos\theta\,\color{blue}{\sin\alpha}}_{\color{red}{ココ}}$$

と先程の式の( )の中身
$${\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta
=\sqrt{a^2+b^2}\underbrace{\Big(\sin\theta\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}+\cos\theta\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}\Big)}_{\color{red}{ココ}}$$

を見比べます。

すると,

$$\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{red}{\cos\alpha},$$

$$\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{blue}{\sin\alpha}$$

とおくと,

\begin{align*}
&{\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta\\
&~~=\sqrt{a^2+b^2}\Big(\sin\theta\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}+\cos\theta\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}\Big)\\
&~~=
\sqrt{a^2+b^2}\Big(\underbrace{\sin\theta\color{red}{\cos\alpha}+\cos\theta\color{blue}{\sin\alpha}}_{\color{blue}{\text{ここに加法定理を使って}}}\Big)\\
&~~=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha).
\end{align*}

となります。結局,まとめてみると,

$$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha).$$

を得ます。まとめると,

$$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)$$
ただし,

$$\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}=\cos\alpha,$$
$$\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}=\sin\alpha.$$
とおく。

となります。

$\cos\alpha,~\sin\alpha$ をおける理由

ここで,1つ疑問があります。

なぜ

$$\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{red}{\cos\alpha},$$

$$\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{blue}{\sin\alpha}$$

とおけるのか確認してみましょう。

これには半径1位の円を sin, cos で書けることを知っていればOKです。

ちゃんと書くと

【定理】
$$X^2+Y^2=1$$
のとき,ある $\alpha$ を用いて,
$$X=\cos\alpha,~~Y=\sin\alpha$$
と書ける。

では,これを使って,確かめてみましょう。

$$\Big(\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}\Big)^2+\Big(\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}\Big)^2=\frac{a^2}{a^2+b^2}+\frac{b^2}{a^2+b^2}=1.$$

よって,上の 【定理】が使えるので,

確かに

$$\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{red}{\cos\alpha},$$

$$\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{blue}{\sin\alpha}$$

が言える。というわけです。

たーこ
たーこ

これで,三角関数の合成はバッチリ!

cos で合成する!

ここまでを理解できればひとまず大丈夫です。

そして,ここまで理解できた人は,

もう一度三角関数の加法定理を見てみましょう。

すると,次のことができそうだと思えると思います:

sin ではなく cos でかけるのではないか!?

そうです!実はできます。

ではやってみましょう!

\begin{align*}
{\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta
=&~ \sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}
\Big(
\sin\theta\frac{{\color{red}a}}{\sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}}+\cos\theta\frac{{\color{blue}b}}{\sqrt{{\color{red}a^2}+{\color{blue}b^2}}}\Big)
\end{align*}

ここまでは,sin の時と同じです。

ここで,cos の加法定理と見比べます。

\begin{align*}
\cos(\theta-\alpha)
=&~~\cos\theta\cos\alpha+\sin\theta\sin\alpha\\
=&~~\sin\theta\color{red}{\sin\alpha}+\cos\theta\color{blue}{\cos\alpha}
\end{align*}

sinの時と同じように,先程の式の( )の中身

$${\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\Big(\sin\theta\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}+\cos\theta\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}\Big)$$

と見比べます。そこで,

$$\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{red}{\sin\alpha},$$

$$\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}=\color{blue}{\cos\alpha}$$

とおくと,

\begin{align*}
&{\color{red}a}\sin\theta+{\color{blue}b}\cos\theta\\
&~~=\sqrt{a^2+b^2}\Big(\sin\theta\color{red}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}+\cos\theta\color{blue}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}\Big)\\
&~~=\sqrt{a^2+b^2}\Big(\sin\theta\color{red}{\sin\alpha}+\cos\theta\color{blue}{\cos\alpha}\Big)\\
&~~=\sqrt{a^2+b^2}\cos(\theta-\alpha)
\end{align*}

とかけます。結局,まとめると,

$$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\cos(\theta-\alpha).$$

となります。まとめると,

$$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\cos(\theta-\alpha)$$
ただし,

$$\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}=\sin\alpha,$$
$$\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}=\cos\alpha.$$
とおく。

となります。

毎回毎回加法定理から導くようにしておけば,

自分は理解しているから導くことができる

と思えて,かなり心の余裕ができますし,

どんな問題が出てきても応用がききます。

そのため,三角関数は覚えずに,

理解するようにしましょう!

きっと,あなたにとって,いい結果をもたらしてくれます。

【今日のまとめ】
1. 三角関数の合成は加法定理から導く
2. 三角関数の合成を理解すると sin だけでなく, cos でも合成できるようになる
3. 暗記しないで,「いつでも導ける」と思っていると,応用もきき,心の余裕ができる

みなさんが少しでも数学を楽しんでくれると嬉しいです。

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