こんにちは。数学者の妻たーこです。
「わかりやすい高校数学」。
今回は「実数」の第3回です。
今回は「絶対値」を見ていこうと思います。
絶対値はこの先よく出てくる内容で,
大学入試にも本当によく出てきます。
数学者の夫曰く,
文系の人たちに出題範囲の中から難しい問題を出そうとすると,
絶対値を含んだ問題にしようとする先生が多いんだよね。
とのことです。
数直線
まずは,言葉の確認から始めましょう。
まず,前回次のことを学びました。
そこで,この実数を表す直線のことを
数直線
と言います。
また,点Oを原点と言います。
また,数直線上の点$A$が$a$という値の時,
$A(a)$
などと書きます。
点までの長さ
では,次に原点Oからそれぞれの点までの長さを表してみましょう。
原点Oから$C(3)$までの長さは3ですね。
原点Oから$D(-2)$までの長さは2ですね。
原点Oから$D(-\pi)$までの長さは$\pi$ですね。
このように,
原点からその点までの長さ(距離)を表すものを
絶対値と言います。
そして,次のように書きます。
$$|3|=3,$$
$$|-2|=2,$$
$$|-\pi|=\pi.$$
つまり,絶対値とは
+のものはそのまま+にし,
-のものは+にする
ようなもののことをいいます。
なお,原点から原点までの距離は0なので,
$$|0|=0$$
です。
問題1
では,問題を解いていきましょう!
(1) |4|
(2) |-3|
(3)|-0.22|
問題1の解答
(1) $|4|=4,$
(2) $|-3|=3,$
(3)$|-0.22|=0.22.$
簡単だね!
実は絶対値は難しい
さて,ここまでみると,
「絶対値なんて簡単だ。」
と思うのですが,
実はちょっと頭を使うシーンが出てきます。
では,もう1度絶対値を確認してみましょう。
$$|-1|=1,$$
$$|-3|=3,$$
$$|-10|=10,$$
$$|-66|=66.$$
ですね。
では,
$$|a|=a$$
でしょうか?
なんとなく正しいような気がしてしまいますが,
実は違います。
実際,上の例を見てみましょう。
$a=-1$とすると,
$$|a|=|-1|=1\not=-1=a$$
となっていますね。
つまり,$a$がマイナスの時は$|a|=a$ではなく,
$$|\color{blue}{a}|=-\color{blue}{a}$$
となるわけです。
つまり,
文字の絶対値を外すときはよく考えないといけない
ということがわかると思います。
ちゃんと説明すると,
次のようになるのですが,
これは覚えなくていいです。
$$a\geq0~~\text{のとき}~~|a|=a$$
$$a<0~~\text{のとき}~~|a|=-a.$$
なぜなら,これを覚えよう覚えようとすると,
難しい問題にであったときに,
「絶対値の性質を覚えていないから解けないんだ」
と思ってしまって,解くのをやめてしまうからです。
ですので,絶対値は
文字の絶対値を外すときはよく考えないといけない
というちょっと曖昧な感じを持っているだけでいいです。
そして,その都度考えて答えを出すようにしましょう。
例題1
(1) $|3-\pi|$
例題2の解答
$3-\pi<0$ なので,
$$|3-\pi|=\pi-3.$$
問題2
では,最後に問題を解いていきましょう。
(1) $|\sqrt{2}-2|$
(2) $|\pi-10|$
(3) $a,b$ は実数とする。$a>3$, $0<b<2$とする。このとき,
$|b-a|$
*ただし,$\sqrt{2}$ はおよそ1.4142.
問題2の解答
(1) $\sqrt{2}-2<0$ より,
$$|\sqrt{2}-2|=2-\sqrt{2}.$$
(2) $\pi-10<0$ より,
$$|\pi-10|=10-\pi.$$
(3) $a>3$, $0<b<2$ なので,
(例えば,$a=4,~b=1$ なので,$b-a=1-4=-3<0$ となる。)
$b-a<0$
となる。よって,
$$|b-a|=a-b.$$
まとめ
1. ある数字の絶対値とは原点からその点までの距離
2. 絶対値の性質は覚えるより,その都度考えること
今回は絶対値を学びました。
なんとなく,わかった気になれば今のところOKです。
では,これからも数学を楽しんでいきましょう。
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